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● かのん鉄道ギャラリー「近鉄名阪ノンストップ特急奮戦記」(2003/10/23) ●

N2000系さんから、KEY「kanon」の面々が近鉄アーバンライナーの中で繰り広げるSSをいただきました。ありがとうございましたm(_ _)m
これを読んで近鉄の看板特急を肌に感じることができます。地域柄近鉄に疎い自分ですが、満足のいく仕上がりになっています。
※スタイルシートを利用しています。対応ブラウザでどうぞ。

 みなさん、本日は近鉄特急にご乗車下さいましてありがとうございます。今回は、かのんキャラクターが、近鉄看板の名阪ノンストップ特急で様々な場面で登場します。かのんキャラだと、なんかぎこちない感じはするかもしれません。でも、やはりキャラクターに当てはめると、ただのレポートより面白くなるかもしれません。
 今回、彼女達が活躍するのは、土曜・休日仕様の名古屋8:00発の難波行きノンストップ特急。約二時間の旅であります。近鉄特急に乗ったことない人も、また何回も乗ったことがある人も今回の奮戦記を楽しんで下さい。では、はじまりはじまり。

 土曜の朝7時を向かえるところだった。車両所では、今回8:00の特急を担当する美坂姉妹(香里、栞)が点呼を受けていた。体調は万全。今日は、いきなり8:00のノンストップ特急の運転からだった。
 「今日は、いきなり看板特急の運転。気合い入るわね。」
 「でも、香里姉さんは最初は楽だよね。仕事少ないし。」
二人は、冗談を交えながら出番を待っていた。栞は、回送運用のため、一旦香里と別れることに。
 一方、近鉄名古屋駅のコンコース。水瀬一家は、連休を利用してUSJ(ユニバーサルスタジオ・ジャパン)へ行くことになっていた。名雪と真琴は、「わーい、USJだUSJ。」とはしゃぐだけだった。月宮あゆは、秋子さんに、
 「USJって何?」
と、一生懸命に聞いていた。秋子は、
 「USJは、ユニバーサルスタジオ・ジャパンといって映画の世界に飛びこめるテーマパークよ。」
と、答えた。あゆは、なんとなくわかったようだった。でも、わかってなさそうだ。
 水瀬一家は、6号車のレギュラーシートだった。なお、今日は土曜日のせいかレギュラーシートは満席。デラックスシートもほぼ満席だった。
 とりあえず、水瀬一家は5番ホームへ向かう。大半の客が8:00の特急を待っていた。すると、2号車(デラックスシート)の位置にどこかで見たことある人が。そう、同じ学校の佐祐理と舞だ。しかも、スーツ姿。二人はこんなことを話していた。
 「今日は、難関のN2000物産だけど契約取れるの?」
 「あははっ、そんなの簡単に取れるわよ。」
いつもの佐祐理なので、舞は表情を変えることはなかった。
7時50分の特急が去った後、場内アナウンスが流れた。
 「毎度ご乗車ありがとうございます。まもなく5番線に、8:00発大阪難波行きノンストップ特急、大阪難波行きノンストップ特急が参ります。途中の停車駅は、鶴橋、上本町でございます。列車の番号は、後ろの方から1号車、2号車の順で座席は指定となっております。特急券の指定番号の席にお座りください。列車が到着します。白線の内側にお下がり下さい。」
 そして、栞がタイフォン鳴らしてアーバンライナーが到着。香里が車掌室のドアを開け、ドアボックスにキーを差し込み、扉を開けた。待っていた客が一気に乗り込む。車内では、テープ放送が流れていた。
 「みなさん、この列車は名阪ノンストップ特急アーバンライナーでございます。途中の停車駅は、鶴橋、上本町でございます。発車までしばらくお待ちください。」
 栞は、回送運用が終るとすぐにブレーキ弁を抜き、先頭車に向かった。そして、ブレーキ弁を差し込み、メーター機器類をチェック。異常がないことを確認し、発車の時刻を待っていた。そして、駅にベルが鳴り伝統のクラシック音楽が流れる。そして香里が、
 「この列車は、難波行きノンストップ特急アーバンライナーでございます。当駅を出ますと、次は大阪の鶴橋まで途中の駅には停まりません。お乗り違いのないようにご注意くださいませ。まもなく発車します。閉まる扉にご注意ください。」
 音楽が流れ終わった後、香里が扉を閉める。そして電鈴をならした。栞は、
 「戸締め、電鈴確認よし。次、鶴橋。出発進行。」
そして、ブレーキを解除してタイフォンを鳴らし、マスコンを入れた。大量の客を乗せて、約二時間の旅が始まった。
近鉄名古屋駅を出発すると、ほんの数分間地下を走る。そして地上に出る。地上に上がるとすぐ、車両所がある米野駅を通過。そして左側に、ライバルのJR東海の名古屋車両所が見える。黄金、烏森を順調に通過。すると、再びテープ放送が流れる。
 「みなさん、本日は近鉄特急にご乗車下さいましてありがとうございます。この列車は、難波行きノンストップ特急アーバンライナーでございます。お煙草がお吸いになれる車両は、1号車と5号車です。次は、鶴橋に停まります。この電車の1号車と2号車はデラックスシート車で、特別車両券が必要です。後ほど車掌が参ります。ご用の方はお知らせ下さい。」
 テープ放送の後、香里がアナウンスを簡単に行う。
 「ただ今から、車内へ参ります。ご用の方はお知らせください。」
 列車は快調に飛ばし、八田付近から香里が検札を始める。まずは、デラックスシートから。でも、時間がたっぷりあるので、いたってマイペースで検札をする。すると、2号車には佐祐理と舞が乗っていた。すると、
 「二時間って、短そうで長いんだよね。とりあえず、佐祐理はPCでマトリックス・ザ・リローデッド見るけど、舞も見ようよ。」
すると、舞は、
 「とにかく仕事。」
と答えるだけだった。つまり、佐祐理のペースにはまってはいけないということだ。とりあえず、舞は契約書の確認をしていた。
 検札も終わりに近づく頃、先頭の6号車には水瀬一家が乗っていた。すると、名雪が香里に気づき声を掛ける。
 「香里、今日は乗務なの。」
 「うん、でも検札が終っても鶴橋までは大分時間があるので退屈だよ。」
 「ふぅーん、そうなんだ。大変だね。でも、頑張ってね。」
香里は、検札を終え、運転室に入っていった。八田付近は、とりあえず片方が高架工事を終え、難波方面は高架線を走っている。しばらくして、庄内川を通過。この辺りは、とにかく快調に飛ばす。伏屋、戸田、蟹江を通過し、車両区のある冨吉を通過。佐古木、弥富を通過すると、いよいよ木曽川橋梁を通過する。鉄橋を一気に駆け抜け、長島を通過。そして長良川へと差し掛かる。するとなにやら変な建物が。あゆが秋子さんに、
 「あれ、なあに?」
と聞いた。すると、
 「長良川河口堰といって、自然を破壊する悪いものだよ。」
多分、あゆはわかっていないようが、秋子さんの心中は穏やかではなかった。やがて、大カーブを曲がるといよいよ桑名を通過する。栞が、
 「場内進行、桑名通過。」
そして、タイフォンを鳴らして定刻通り桑名を通過。時計は、8:18を指していた。向かいの北勢線のホームとお別れしてすぐに益生通過。しかし、この辺りは街中なので、多少もたつきながら走る。伊勢朝日を過ぎれば、元の状態になり富州原を通過。しかし、近鉄富田が近づくと、50キロ制限になる。そして、
 「場内進行、近鉄富田通過。」
三岐鉄道線を後にして、ゆっくり通過する。やがて栞と香里が、
 「制限解除。」
と言って、栞が再びノッチを入れる。香里は、一旦運転室を出て車掌室に戻ることに。水瀬一家はどうなっているのだろうか?
 すると、名雪はあっという間に爆睡。しかも、隣でマンガを読んでいる真琴に寄りかかる。真琴が、
 「秋子さん、なんとかしてよ。」
耐えきれない真琴に、秋子は
 「まあまあ、気にしない、気にしない。」
 秋子さんは、冷静だった。デラックスカーの佐祐理と舞も相変らずだった。すると、舞の携帯に着信が入り、デッキに向かう。どうやら、担当の者らしい。
 「佐祐理は仕事しているか。」
 「うん、しているよ。」
 本当のことは、とても言えなかった。やがて、霞ヶ浦、阿倉川を過ぎ、川原町から高架になる。そして、近鉄四日市に差し掛かり、
 「本線場内進行、近鉄四日市通過。」
栞のテンポが、良くなってきた。猛スピードで四日市を通過。そして、地上ではナローゲージの列車がゆっくり走っていた。時計は8:28、まずまずである。
 高架駅の新正を通過し、海山道を通過。ここで、一気にスピードを上げる。コンビナート付近の塩浜を通過。ここには、JR貨物のターミナルがあるが、そんなことはかまっていられない。北楠を通過し、楠に差し掛かる。しかし、カーブがあるため制限速度(50)まで落とす。ゆっくり通過し、再びスピードを上げる。長太ノ浦、箕田、そして伊勢若松を一気に通過。そして、千代崎を過ぎると白子である。
 「本線場内進行、白子通過。」
白子を猛スピードで通過。時計は8:36。いい感じである。
 香里は車掌室で休んでいた。列車は、鼓ヶ浦、磯山、千里と快調に飛ばす。すると豊津上野付近からスピードが落ちる。栞は、
 「減速。」
と言ってブレーキを掛ける。どうやら、先行の急行がちょっと遅れているようだ。白塚を過ぎ、栞がイラつきだす。しかし、高田本山付近で進行表示が出て再びマスコンを入れる。その時である。香里がポーチを取り出し、車掌室を出てしまった。一体どこへ向かうのか。
 江戸橋で急行を追い越す。遅れていたので、急行の運転手が一礼していた。栞は、手を挙げて挨拶をした。やがて紀勢線をオーバークロスし、いよいよ津に差し掛かる。
 「場内進行、津通過。」
平日なら、この列車は津に停まる。しかし、休日は混むため、津には停まらない。津は大カーブがあるため、ここはゆっくり通過する。時計は、8:44。やがて、津新町を通過。ここは、名古屋方面への折り返し設備もある。そして、近鉄住宅が立ち並ぶ南が丘を通過したとき、ノックの音がした。
 「栞、入るわよ。」
 「お姉さん、どうぞ。」
 なんと、香里だった。やがて香里は、栞の隣に座る。そして、久居を通過したとき、運転室のカーテンを閉めた。一体どういうことなのか。そして、放送が流れた。
 「まもなく、電波の弱い区間に入ります。ただ今から約40分間、列車電話が使用できなくなりますのでご了承ください。」
といっても、今は携帯が大半ではあるが、ない人にはありがたい。
 桃園を通過(8:50)した時だった。香里が立ち上がり、電気機器の確認をした。そして、伊勢中川の分岐点に差し掛かった時、栞がハンドルを離し、香里が運転席に座った。そして、
 「場内注意、中川分岐点通過。制限30。」
香里が叫んだ。栞が最終確認を行う。分岐点に差し掛かろうとしていた時、右前方の大阪線では、京都からやってきた賢島行きの特急が伊勢中川に進入しようとしていた。当然、このままではぶつかってしまうので、分岐点の信号は停止信号。しかし、賢島行き特急はすぐに伊勢中川駅に進入。そして、信号が注意に切り替わった。しかし、制限があるため、分岐点ではレールをきしませながらゆっくりカーブする。そして、大阪線に進入成功。状態を立て直し、信号が青になった。
 「制限解除、出発進行。」
香里が叫び、マスコンを一気に入れた。そして、
 「栞、お疲れさまでした。」
香里がこう言うと、栞は、
 「香里姉さん、安全運転で。」
と言って、運転室を出て行った。
 実は、ノンストップ特急は、運転士兼車掌が二人乗っている。一人で運転すると、事故などの危険が伴う。そこで、運転士を二人乗せ、中川分岐点で交代乗務を行っていた。つまり、今回の場合、栞が名古屋線を担当し、香里が大阪線を担当していた。そして担当外のエリアでは、車掌業務を行い効率化を計っている。では、香里のポーチに入っていたものは。それは、大阪線の仕様表だった。
 そんなことはおかまいなしで、川合高岡を通過。この辺りは、普通や急行がほとんど走っていないので、スピードが出せる。その勢いで、伊勢石橋を通過。更にあっという間に、大三を通過。そしてトンネルを潜り、榊原温泉口を通過した。香里のマスコン捌きが、アーバンの力を更に加速させる。
 一方、運転を終えた栞は、車掌室に戻ろうとしていた。その時、あゆが声を掛けてきた。
 「あれ、栞。いつの間に乗っていたの?」
すると栞は、
 「ちゃんと名古屋から乗っていましたよ。」
と答えた。あゆはなんともなさそうにうなずいていた。多分、全くわかってなさそうだ。
名雪の眠りは、更にエスカレート。隣の真琴も泣きそうなくらい限界だった。そして、舞はおとなしそうに窓の外を眺めていた。佐祐理は、DVDであははっと笑っていた。
 東青山手前で、難波からやって来たアーバンライナー・ネクストとすれ違う。栞の話では、感触は普通のアーバンと若干違うが、それでもパワーに余裕があるため楽だとか。そして、東青山を通過。中川折返し列車がぽつんと停まっていた。そして、いよいよ私鉄最長の新青山トンネルを潜る。
 新青山トンネルでは、最高速度120キロを示していた。栞はなんともなさそうに姉の運転に酔いしれていた。しかし、この辺りは23‰勾配が続くため、110キロ以下に落ちないよう激しいマスコン動作が続く。
 新青山トンネルを抜けると、西青山を通過。この辺りには旧青山トンネルの廃線跡がある。そんなことはお構い無しに、伊賀上津を通過。車両区のできた青山町を通過。停まってはいなかったが・・・。上り勾配を抜けると、伊賀神戸を通過。そして、美旗を通過し桔梗が丘も通過する。桔梗が丘もベットタウンであり、朝と夕方の一部の特急も停まるようになっている。桔梗が丘を通過すれば、名張も間近である。
 「本線場内進行、名張通過。」
 名張は、ポイントの関係上若干速度を落として通過する。時計は9:25を指していた。しかし、ここはまだ三重県であり、関西圏ではない。しばらくして、赤目口を通過。三本松通過で、ようやく奈良県に入る。室生口大野を通過直前で、香里の運転に異変が・・・。
 「減速。」
 どうやら、さっきの栞と同じ状態らしく、先行の準急が遅れていた。大阪線は休日ダイヤといえども、かなり過密状態に近い。そのため少しでも遅れると、後の列車もズルズルと遅れていく。榛原近くでなんとか青になり、無事に通過。ここから33‰勾配にアタックする。しかし、アーバンはお構い無しに勾配を上っていく。
 長谷寺を通過。数人の鉄ちゃんたちが、何かを待っていた。香里はタイフォンを鳴らして、鉄ちゃんに挨拶。大和朝倉を通過し、33‰勾配は終了。そして桜井を通過。しかし制限があるため、ゆっくりと通過する。
 制限解除後、大福、耳成を通過し、大和八木に差し掛かる。
 「本線場内進行、大和八木通過。」
大和八木を通過。通過直後に、京都への短絡線が見えた。時計は9:37を示していた。ここを過ぎれば、鶴橋まではあとわずかである。
 真管、松塚を通過。最近、一部の特急も停車するようになった大和高田を通過。築山を通過し、検車区の五位堂を通過。近鉄下田、二上、関屋、大阪教育大前を通過。しかし、大阪教育大前を通過後、一気に減速し河内国分を通過する。この辺りは、街中を縫って走るため、さすがのアーバンライナーでもヨタヨタ走る。安堂、堅下、法善寺を通過しても、スピードを上げたり下げたりの繰り返し。香里もイライラしながらマスコンを捌く。
 「この辺りは、あまり好きじゃないんだよね。しかも、先行列車も遅れやすいし。」
香里は、そうぼやきながらアーバンを走らせていた。恩知を通過。そして、検車区のある高安を通過。団体用車両(楽)が待機していた。河内山本をゆっくり通過し、近鉄八尾に差し掛かる。すると直前で高架になり、ここを過ぎれば踏切とはさよならである。そうなれば、アーバンも本来の力を取り戻し、香里は一気にスピードを上げる。
一方その頃、水瀬一家は名雪を起こすのに必死だった。揺すっても起きないため、秋子さんはコショーを取り出し、名雪の鼻に振りかけた。すると、
 「ハックション。」
とくしゃみを飛ばし、名雪は起きた。
 「あれ、みんなどうしたの。」
秋子さんとあゆは笑っていたが、怒っていたのは当然真琴である。
 「あんたねぇ、私に寄りかかって居眠りしていてなんともなかったなんて冗談じゃないわよ。せっかくのマンガタイムが台無しじゃない。」
しかし、名雪は何事もなかったかのようにボーっとしていた。
 一方、舞は降りる準備をしていた。佐祐理もDVDが終ったらしく、PCの電源を切った。舞は、何気なく佐祐理に聞いてみた。
 「佐祐理、企画書は終ったの?」
と聞いた。すると、
 「そんなものは、乗る前に仕上がっているよ。あとは、私の口にまっかせなさい。」
と言った。舞は笑っていたが、おそらく今までよく友達でいれたなと思っているだろう。
 さて、一気にスピードを上げたアーバンは、久宝寺口、弥刀、長瀬を通過する。香里も、鶴橋に向けスパートを駆ける。俊徳道を通過すると、奈良線の線路が見えてきた。そして、奈良線合流地点の布施を通過。ちなみにここにもアニメイトがある。
 そして近鉄唯一の複々線区間を走り、今里を通過。そして、テープ放送が流れた。
 「まもなく、鶴橋でございます。JR環状線、地下鉄線はお乗換えです。お忘れ物の無いよう、お降りください。鶴橋を出ますと、次は上本町に停まります。」
 続いて、栞がアナウンスする。
 「まもなく、鶴橋でございます。JR環状線、地下鉄線はお乗換えです。お忘れ物の無いよう、身の回り品もう一度お確かめ下さい。なお、扉は内側に折りたたんで開きます。少し離れてお待ちください。本日は、近鉄特急アーバンライナーにご乗車いただきましてありがとうございました。鶴橋を出ますと、次は上本町に停まります。」
 運転室では、香里が進入の確認をしていた。
 「鶴橋停車。奈良線3番線、場内進行。」
そして、大阪線から奈良線に進入し、香里がブレーキを掛ける。停止位置にほぼピッタリ停めて10:00、定刻通り鶴橋停車。栞が、ドアを開けた。
 「鶴橋、鶴橋です。ご乗車ありがとうございました。お忘れ物の無いようお降り下さい。この列車は、特急列車です。ご乗車できませんので、ご注意ください。」
 ホームでは、このようなアナウンスが流れる。2時間の旅を終えた水瀬一家は、環状線乗換え口に向かう。ここでは、3割ぐらいの客が降りていった。栞が扉を閉め、電鈴を鳴らした。
 「電鈴よし、戸締めよし。次、上本町。出発進行。」
 香里はゆっくりマスコンを入れた。上本町は、すぐ隣なので素早く入れる必要はない。出発するとすぐ、アーバンは再び地下に潜っていく。なお、大阪線の終着駅は上本町であり、地下ではなく地上ホームで折り返す。そのため、同じ駅でも地上ホームと地下ホームの2種類ある。当然、場所を間違えると大変なことになる。地上から地下までの移動は、最低でも5分はかかるので、きっぷをよく確かめて間違えないようにしたい。地下に潜ってすぐ、テープ放送が流れる。
 「まもなく、上本町でございます。地下鉄線は乗り換えです。上本町を出ますと、難波に停まります。」
 香里は、
 「場内進行、上本町停車。」
ゆっくりなので、落ち着いてブレーキを掛ける。上本町では、あまり知られていないせいか、パラパラ程度の客が降りた。上本町という地名を使っているのは近鉄だけなので、そうなったのかもしれない。ちなみに、地下鉄だと谷町9丁目である。
 栞が扉を閉め、電鈴を鳴らす。そして、
 「次、近鉄難波。出発進行。」
 香里が、再びマスコンを入れる。地下なので、峠越えのようなスピードは出さない。発車してすぐに、日本橋を通過。通過後、テープ放送が流れる。
 「まもなく、難波でございます。この列車は、この駅までとなっております。お忘れ物の無いようお降り下さい。南海線、地下鉄線、JR線はお乗換えです。本日は、近鉄特急アーバンライナーにご乗車くださいましてありがとうございました。」
 そして、栞が、
 「まもなく、難波でございます。この列車は、この駅までとなっております。お忘れ物のないようお降り下さい。南海線、地下鉄線、JR線はお乗換えです。本日は、近鉄特急アーバンライナーにご乗車くださいましてありがとうございました。扉は内側に折りたたんで開きますので、少し離れてお待ちください。」
 そして、香里が最後の確認をする。
 「場内進行。近鉄難波停車。」
 ブレーキを落ち着いて掛け、定位置に到着。栞が扉を開けてすぐに、
 「難波停車。定着、戸締め滅。」
10:05、定刻通りに難波に到着。舞たちを含め、一気に客が降りる。栞が誰もいないことを確認して、扉を閉める。香里は引込み線へ動かし、回送発車まで待機。その後、東花園まで回送し、二人の乗務は終了となった。
 「香里姉さん、お疲れさま。」
 「栞、お疲れさま。さあ、飯でも食べに行くわよ。」
 「はいっ。」
 栞は、嬉しそうに香里と話していた。そして、最終点呼を終えて一言。
 「乗務完了。」
二人は、嬉しそうに飯を食べに行った。この後、二人は16:00のULネクストの乗車が待っている。また、元気な姿を見れるに違いない。

 いかがでしたか。実際の乗車を元として書いてありますので、多少のズレはあると思います。その点は目をつむって読んでください。
 なお、ULネクスト編は、こちらにあります。今回も最後までのおつきあい、誠にありがとうございました。

おまけ。私なりに拙いCGをつけました。
おまけ。私なりに拙いCGをつけてみました。



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